HIV感染症(エイズ)
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HIV感染症(エイズ)
レトロウイルス属レンチウイルス科に属するHIV(human immune deficiency virus)が血液・体液等を介して感染する感染症です。HIVにより免疫細胞の一種であるCD4陽性T細胞が破壊されることで免疫機能が低下していきます。
病状が進行すると特殊な免疫不全による非日常的な感染症・腫瘍(ニューモシスティス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、播種性非結核性抗酸菌感染症、Kaposi肉腫等)を発症して死に至る病態・症候群(エイズ)を発症します。HIV感染症は、HIV-1とHIV-2に分けられますが、日本ではほぼ全例がHIV-1です。
日本の累積HIV感染者は2万人前後と推測され、HIV感染者は5,000人から10,000人に1人程度の頻度とされています。
初感染期、無症候期、エイズ期で症状が異なります。
50~90%の方が、HIVの感染後2~6週間に何らかの症状(発熱:96%、リンパ節腫脹:74%、咽頭炎:70%、皮疹:70%、筋肉痛/関節痛:54%、頭痛:32%、下痢:32%、嘔気・嘔吐:27%)を認めると報告されています。
無症候期は、初感染期の症状が消失し、エイズ期に至るまでの数年から十数年の期間を指しますが、この期間は個人差が大きいとされています。最近では、休止期ではなく、毎日100億個前後のHIVが産生されCD4陽性T細胞が平均2.2日で破壊される動的時期と把握され、脳神経障害や心血管系障害・腎障害・骨代謝障害などが持続する時期と考えられています。
代表的な疾患(エイズ指標疾患)の発症を認めた場合、エイズ期と診断されます。
エイズ指標疾患
診断は、通常、2段階の検査(スクリーニング検査、確認検査)でおこなわれます。
HIVの疑いがある方を広く調べるスクリーニング検査は、偽陽性が0.3~1%程度あるため注意が必要です。
抗HIV薬を3種類以上組み合わせて行う治療(HAART)が一般的となっています。
近年まで「いつ治療を開始するか」については議論が行われていましたが、現在は徐々に「HIV感染症が診断された後できるだけ早く治療を開始する」という結論に向かっています。できるだけ早く治療を開始する場合も、身体障害者手帳の取得等の手続きがあるため、診断後2~6か月以内に治療が開始されることが多いようです。
HIV感染症の治療法はめざましく進歩し、強力な抗HIV薬を複数併用することにより、一般人とほぼ同等の生命予後を期待できるまでに至っています。
しかし、現時点では、治療はHIV感染症を根絶=治癒させるまでの効果はなく、生涯にわたり抗HIV薬の内服を継続する必要があります。