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副腎腫瘍

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副腎腫瘍とは

副腎腫瘍とは

副腎に発生する腫瘍です。ほとんどが良性腫瘍ですが稀に悪性腫瘍が発生することもあります。偶然見つかった副腎腫瘍(副腎偶発腫瘍)の50.8%が、ホルモンを産生しない良性腫瘍(ホルモン非産生腺腫)で、大きさが3cm未満であれば治療の必要はありません。

副腎腫瘍のなかには、ホルモンを過剰産生するものがあり、様々な病気を引き起こし、治療を要する場合があります。

副腎の悪性腫瘍には副腎がん、一部の褐色細胞腫などがあり、手術治療や抗がん剤治療などの集学的治療が行われます(副腎腫瘍の分類)。

副腎皮質がん(副腎がん)

副腎皮質がん(副腎がん)とは

副腎皮質がんはまれながんで、100万人あたりの罹患率は2人です。男女比は1:1.5で女性の方が多いです。好発年齢は5歳未満と40-50歳代と言われています。非常にまれな疾患であるため、原因はよくわかっていません

 

副腎がんの症状

特徴的な症状はありません。病気が進行して大きくなることによって、腫瘤を触れる、腹痛、便秘、吐き気などの症状を認めるようになります。副腎ホルモンを産生している場合は、糖尿病や高血圧、肥満といった症状を認めることがあります。進行するにつれ発熱、食欲不振、体重減少など多彩な全身症状を伴うことがあります。

早期は無症状ですので、超音波やCTなどで偶然発見されることもありますが、1.8%と頻度は高くありません。

 

副腎がんの検査

血液検査:血中の副腎ホルモンの濃度を調べます。アルドステロンを産生している場合は、血清カリウム値が低くなります。デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(DHEA-S)が副腎がんの腫瘍マーカーとして有効な場合があります

尿検査:尿中の副腎ホルモンの代謝物を調べます。

CT検査:造影剤を用いたCT検査が望ましいと言われています。腫瘍の辺縁が不整であったり、内部が不均一に造影されたり、石灰化を認めた場合、副腎がんを強く疑います。転移の有無を調べることもできます。

MRI検査:診断能力はCTと同程度ですが、CTでは診断困難な場合に用いることがあります。周囲への進行具合(浸潤)の評価に有用です。

核医学検査(シンチグラフィー):副腎ホルモンを産生している腫瘍では、有用な場合があります。PET検査の有用性については議論が行われています。

 

副腎がんの治療

副腎がんは手術以外に有効な治療法がありません。転移がない副腎がんに対する治療の第一選択は手術(外科的摘除)です。状況によっては腎臓などの周辺臓器を一緒に摘除することもあります。術後に薬物療法や放射線照射を追加する場合もあります。

原発性アルドステロン症

副腎皮質ホルモンであるアルドステロンが過剰に産生された状態を指します。

高血圧のほか、低カリウム血症に伴う尿量の増加、筋力低下を症状として認めることがあります。

高血圧と診断されている方の510%は本疾患が原因で、推定患者数は200400万人と言われています。罹患期間が長くなると脳梗塞や心筋梗塞、腎不全などの原因になることが分かっています。

治療法として薬物療法や手術療法(副腎摘除)が挙げられます。手術を検討する場合は、副腎静脈サンプリング(AVS)を行いどちらの副腎からアルドステロンが過剰産生しているのかを調べます。

術後、徐々に腎機能の障害が明らかになる場合もあるため、定期的な経過観察が必要とされています。

クッシング症候群/サブクリニカルクッシング症候群

副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが過剰に産生された状態を指します。高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症の原因となります。他にも無月経や筋力低下など多彩な症状を生じます。

クッシング症候群では、顔が丸くなる(満月様顔貌)、ニキビが増える、首の後ろや背中が盛り上がる、お腹に脂肪がつく、毛深くなるなどの身体的特徴を認めます。男女比は1:4で、特に中年女性に多いとされています。また、クッシング症候群の3%に副腎がんが存在すると言われています。

身体的特徴を認めないものをサブクリニカルクッシング症候群と呼んでいます。サブクリニカルクッシング症候群は副腎偶発腫瘍の10%を占めるとされています。

診断は、血液中のホルモン値を評価する内分泌機能検査の他、CT検査や核医学検査(131I-アドステロールシンチ)などの画像検査によって行われます。

治療の第一選択は手術療法(副腎摘除)ですが、術後に薬物を用いたホルモン補充を要することがあります。また、全身状態が悪く手術ができない患者さんには薬物療法を行うことがあります。

非機能性副腎皮質腺腫

ホルモンを産生しない副腎皮質由来の腫瘍を指します。CT検査やMRI検査で悪性所見を認めず、大きさが3cm未満であれば経過観察を行うことが一般的ですが、大きさが46cm以上の場合や、画像検査で悪性所見を認める場合は手術療法(副腎摘除)により治療を行います。

褐色細胞腫/パラガングリオーマ

副腎髄質ホルモンであるカテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)が過剰に産生された状態を指します。年間罹患者数は3000人、男女比は1:1、好発年齢は2040歳代と言われています。

高血圧、動悸、発汗、頭痛、高血糖、高脂血症などの多彩な臨床症状をとり、突然死のリスクもある一方で、無症状で偶然に発見されることもあります。高血圧の病型で、発作型、持続型、混合型の3つに分けられますが、実際には高血圧発作の自覚症状がない持続型が多いとされています。

副腎外性、両側性、悪性、家族性、小児性、悪性が約10%存在します。

診断は、血液・尿検査、内分泌機能検査の他、MRI検査や核医学検査(131I-MIBGシンチ)などの画像検査によって行われます。

治療の第一選択は手術療法(副腎摘除)ですが、術前にα1遮断薬を用いた薬物療法を2週間程度行うことがあります。

 

悪性褐色細胞腫とは

褐色細胞腫の10%を占めるとされています。病理検査による診断は難しく、転移・再発を認めた場合に診断がつくことが多いです。転移を伴う場合は抗がん剤による治療が行われます。また、保険適応外ですが、放射線物質による内照射治療(MIBG内用療法)が一部の医療機関で行われています。