WEB予約

前立腺炎

前立腺炎|よつかいどう泌尿器科クリニック|排尿障害・尿路結石のご相談なら|千葉県四街道市

前立腺炎とは

前立腺に炎症が起こり、頻尿や排尿困難、排尿時・排尿後の痛みなどの症状を伴う状態です。尿混濁や血尿、また自分で排尿ができなくなる尿閉を引き起こす場合もあり、発熱や意識障害などを生じ、入院治療を要することも珍しくありません。

前立腺炎はほとんどの世代の男性でみられますが、高齢男性よりむしろ若年に多いとの報告もあります。

前立腺炎の原因

細菌性前立腺炎の原因は、大腸菌などの腸内細菌や性感染症の原因となるクラミジアなどの細菌です。尿路や血流から前立腺に感染すると考えられています。一方、非細菌性前立腺炎の原因の多くは不明です。

前立腺炎の分類

前立腺炎の分類

細菌感染の有無や発症経過により、4つのカテゴリーに分類されます(米国国立衛生研究所による前立腺炎の分類)。

 

前立腺に細菌感染を生じ急性の炎症を生じたものは、急性細菌性前立腺炎(カテゴリーⅠ)、慢性の炎症を生じたものは、慢性細性前立腺炎(カテゴリーⅡ)に分類されます。

細菌感染が証明されないカテゴリーⅢは慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)とも呼ばれ、90%以上を占めています。カテゴリーⅢは炎症を有するⅢAと炎症を有さないⅢBに細分されます。一般的には、カテゴリーⅡ、Ⅲが慢性前立腺炎“と呼ばれています。

自覚症状を認めないが、前立腺組織や精液中に炎症所見を認めるものは無症候性炎症性前立腺炎(カテゴリーⅣ)に分類されます。前立腺針生検や精液検査をきっかけに偶然みつかります。

 

前立腺炎の症状

頻尿、残尿感、尿意切迫感などの症状が主体ですが、排尿困難などの症状を認めることもあります。カテゴリーⅢでは、会陰部(陰嚢と肛門の間)や骨盤部の様々な部位に痛みや不快感を自覚することがあります。慢性前立腺炎の症状を客観的に定量化する指標として慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)があります(慢性前立腺炎症状スコア)。

前立腺炎の検査

尿検査:尿中の血液や細菌の有無を調べます。前立腺マッサージ後に採取することもあります。

尿流・残尿測定:排尿障害の有無を調べます。検査用トイレで実際に排尿していただき尿の勢いを調べる検査(尿流測定)を行います。排尿後には超音波検査で尿の出し残し(残尿)を測定します。

直腸診:前立腺には直腸が接しています。直腸診は、肛門から指を入れて、前立腺に触れることで状態を確認する検査です。前立腺の大きさ、硬さ、表面の滑らかさ、痛み、熱感の有無などを判定します。急性細菌性前立腺炎に対しては、症状を増悪させるリスクがあるため行わない場合があります。

超音波検査:音波を用いた検査です。手軽に行うことができ、痛みや被ばくを伴わない検査です。前立腺の大きさや形だけでなく、他の病気(膀胱がんや膀胱結石など)を見つけることもできます。

膀胱鏡検査:外尿道口から、内視鏡を入れ、尿道や膀胱の内部を観察します。間質性膀胱炎を疑う場合に行います。カテゴリーⅢの患者の60~80%が間質性膀胱炎であったとの報告もあります。

MRI・CT検査:磁力もしくはX線を用いて体内の情報を収集する検査です。前立腺膿瘍(前立腺の内部に”膿“が貯まった状態)を疑う場合に行います。

前立腺炎の治療

カテゴリーⅠ

抗菌薬を投与します。尿閉の場合、尿道カテーテル留置を行います。前立腺膿瘍を認めた場合は、膿を体外へ排出する処置(ドレナージ)や膀胱瘻造設を行うこともあります。

 

カテゴリーⅡ

長期(46週間)の抗菌薬投与を行います。生薬や頻尿治療薬を併用することもあります。

 

カテゴリーⅢ

培養困難な細菌感染(マイコプラズマ・ウレアプラズマなど)を疑う場合は抗菌薬投与を行います。また、生薬や頻尿治療薬、抗炎症薬、前立腺肥大症治療薬による薬物療法のほか、行動療法(生活習慣の改善)による治療を行います。

症状が長期間持続すると、慢性疼痛症候群に類似した病状を示すことがあり、専門医(心療内科、ペインクリニック)に治療をお願いすることがあります。

 

カテゴリーⅣ

通常治療は行いません。

マイコプラズマ・ウレアプラズマについて

マイコプラズマ・ウレアプラズマは、およそ100ナノメートル(1メートルの100万分の1)ほどの非常に小さな細菌です。マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)は、肺炎の原因菌として広く知られています。ウレアプラズマは、マイコプラズマ科に属する細菌で、女性の子宮頸管炎や骨盤腹膜炎、感染性流早産の原因と考えられています。泌尿生殖器に病原性のあるマイコプラズマ・ウレアプラズマは、Mycoplasma genitaliumM. genitalium)、Mycoplasma hominis(以下M. hominis)、Ureaplasma urealyticumU. urealyticum)、Ureaplasma parvumU. parvum)の4種です。これらのうちM. hominisU. urealyticumU. parvum3種が慢性前立腺炎の原因となりうると考えられています。

マイコプラズマ・ウレアプラズマは、非常に小さく普通の顕微鏡では確認が困難なため検出にはPCRもしくは培養を行う必要があります。

培養法は、症状があれば保険適用になる利点がありますが、結果が出るまで時間がかかること、菌が少量であったり、検体の保存が不適切であったりすると正確な結果がでないなどの欠点があります。

一方、菌の遺伝子を増幅して検出するPCR法は、培養法に比べ結果が出るまでの時間が早いこと、菌がごく少量でも検出できる利点がありますが、保険適用外検査のため検査料金が高いこと、検査ができる医療機関が限られているなどの欠点があります。

前立腺炎の予防

細菌性前立腺炎の原因として前立腺肥大症や排尿障害が考えられる場合は、抗菌薬治療の後、手術療法(経尿道的前立腺切除術:TURP、ホルミウムレーザー前立腺核出術:HoLEPなど)を検討します。

また、慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の増悪因子として飲酒、過労、緊張、長期座位、刺激物の多量摂取、職業ドライバーや自転車通勤者における慢性的な骨盤底への物理的刺激などが考えられています。生活習慣の改善(禁酒や円座クッションの使用、定期的な運動など)により病状の悪化を予防します。