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停留精巣

停留精巣|よつかいどう泌尿器科クリニック|排尿障害・尿路結石のご相談なら|千葉県四街道市

停留精巣・移動精巣とは

停留精巣・移動精巣とは

精巣は胎生期に腹腔内で発生し、妊娠7~9か月目に陰のう内に下降します。下降の過程で正常な位置に到達せず停留した状態が停留精巣です。また、一旦、正常な位置まで下降しても固定が不十分で精巣が正常な位置から動いてしまう状態が移動精巣です(停留精巣と移動精巣 姫路赤十字病院・小児外科ホームページより引用)。

停留精巣の頻度

新生児の4.16.9%に、片側または両側の停留精巣を認めるとされています。出生時に停留精巣を認めても、そのうちの6070%は3ヶ月で自然に下降し、停留精巣を認める頻度は、1歳時には1~1.7%にまで低下するとの報告があります。一方、1歳以降は精巣の自然下降は望めないとされています。

低体重児や37週以前の早期出生児では、新生児期に停留精巣を認める頻度が高くなることが報告されています。また、母親が妊娠中にアルコールやタバコを摂取した場合や家族歴がある場合も頻度は高くなることが報告されています。

停留精巣の原因

明確な原因はわかっていません。胎生期のホルモンバランスの異常や精巣導帯(精巣を陰のう内に固定している靭帯)の異常等が関わっていると考えられています。

停留精巣の症状

陰のう内に精巣を触れないこと以外は特別な症状はありません。検診で指摘されることがほとんどです。

精巣は、寒いとき、緊張したとき、泣いているときには、高い位置に移動してしまいますので、診察は温かい場所で、親御さんと協力してお子さんがリラックスした状況で行う必要があります。緊張して泣いたりして、診察が難しい場合は、日を改め何度か診察することがあります。

停留精巣の検査

超音波検査:陰のうや鼠径部での精巣の確認に有用です。精巣の位置、大きさ、内部の状態、血流などの評価が可能です。お腹の中に精巣がある場合(腹腔内精巣)は観察が難しいです。

MRI検査:腹腔内精巣を疑う場合に行うことがあります。お子さんによっては、鎮静が必要な場合があります。

腹腔鏡検査:腹腔内精巣を疑いMRI検査でも精巣を確認できない場合、腹腔内を内視鏡で観察し精巣を確認します。麻酔や皮膚切開が必要となる侵襲的な検査です。

内分泌学的検査:血液中の性ホルモンの値を調べます。お薬を用いた負荷試験を行うこともあります。両側例や下部尿路発生異常(矮小陰茎や尿道下裂など)を認める場合に検討します。

停留精巣の治療

精巣が正常に機能するためには、比較的温度が低い陰のう内にある必要があります。男性不妊症や精巣捻転のリスクが上昇するため、停留精巣や一部の移動精巣では治療を要します。

以前は“1歳前後~2歳ごろ”とされていましたが、6か月以降は自然治癒することが少ないため、最近はより低年齢(6か月~1歳)で治療を行うことが推奨されています。

治療は、精巣を陰嚢内に固定する手術(精巣固定術)を行います。一部の腹腔内精巣は2回に分けて治療を行うこともあります。

停留精巣が精巣腫瘍を生じるリスクについては、最近では一般男性に比べ314倍のリスクを有するとされ、精巣固定術により精巣を陰のう内に降ろしても、そのリスクは変わらないとされています。しかしながら、腫瘍の早期発見・早期治療につながるよう、精巣を触れやすい陰のう内に固定しておくことは有益と考えられています。