腹圧性尿失禁
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腹圧性尿失禁
運動時やくしゃみ、咳の際に意図せずに尿が漏れる症状です。時に、トイレに行くのが間に合わず尿がもれる切迫性尿失禁(UUI)を合併することもあります。
女性の尿失禁の49%がSUI、21%がUUI、両者を合併した混合性尿失禁(MUI)は29%とされています。
原因として、膀胱の出口のしまりが悪くなる”内因性括約筋不全”と膀胱と尿道の位置が変わりやすい“尿道過可動”が挙げられています(SUIの原因)。以前は尿道過可動が主な原因と考えられていましたが、現在では両者が様々な割合で共存すると考えられています。
SUIの原因
自覚症状の評価:ICIQ-SFというアンケート形式の問診表で自覚症状を評価します。
尿検査
残尿測定
内診:骨盤臓器脱の有無を調べます。また骨盤底筋群の収縮力を評価します(オックスフォードスケール)。
ストレステスト:尿が貯まった状態で内診台に乗っていただき、咳や腹圧をかけて、尿が漏れるかどうかを確認します。
経会陰式超音波検査:会陰よりプローブを当てて、膀胱と尿道の形や角度を調べます。
パッドテスト:失禁量を調べて重症度を判定します。飲水後、運動を1時間行ったあとの失禁量を評価する”1時間パッドテスト“と日常生活の中で24時間の失禁量を求める”24時間パッドテスト“があります。
鎖膀胱尿道造影:尿道に鎖を留置したうえで膀胱を造影し、膀胱と尿道の形や角度を調べます。
このほか、排尿日誌や尿流動態検査を行い、膀胱や尿道の機能を評価することがあります。
ICIQ-SF(International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form)
オックスフォードスケール
治療には、行動療法、薬物療法、手術療法があります。
減量、禁煙、労働条件の改善(重いものを持たないなど)、刺激物(カフェインなど)の摂取制限、飲水制限、便秘の予防などをお願いします。
女性の尿失禁治療の第一選択となります。腹圧時に骨盤底筋を収縮させる強度と収縮のタイミングを向上させることにより失禁を改善させると考えられています。8~12回を1セットとして1日3セット、最低でも2日に1回、少なくとも4~5か月間は継続する必要があります。有効率は約50%とされ、UUI、MUIにも効果があるとされています。
β2アドレナリン受容体刺激薬であるクレンブテノール(スピロペント®)が保険適応となっています。尿道閉鎖圧を上昇させることで、尿失禁を改善すると考えられています。
中部尿道の裏面に約1cm幅のポリプロピレンメッシュを植え込む中部尿道スリング手術が標準術式です。TVT(Tension-free Vaginal Tape)手術とTOT(TransObturator Tape)手術の2種類の術式があります(TVT手術とTOT手術)。成功率は80~90%とされています。
TVT手術とTOT手術