間質性膀胱炎・膀胱痛症候群
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間質性膀胱炎・膀胱痛症候群
膀胱炎や膀胱がん、膀胱結石や過活動膀胱が否定されたにもかかわらず、膀胱の痛み、頻尿、強い尿意、排尿困難など、膀胱や排尿に関する極めて不快な症状をもたらす疾患です。
罹患率は0.01~2.3%の範囲、女性に多く(男性の約5倍)で、本邦で治療中の患者数は約4,500人(0.004%:全人口の10万人あたり4.5人)と推定されています。
膀胱鏡で膀胱内にハンナ病変を認めるものをハンナ型間質性膀胱炎(HIC)、それ以外を膀胱痛症候群(BPS)と呼んでいます。
原因は良く分かっていません。最近の検討では、HICとBPSでは病態が大きく異なるため、両者を分けて治療すべきとされています。
自覚症状の評価:まずは国際前立腺症状スコア(IPSS)や過活動膀胱症状質問票(OABSS)を用いて前立腺肥大症や過活動膀胱の有無を評価します。間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の症状は、O’Leary & Santによる症状スコアと問題スコア(間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(2019年)より引用)というアンケート形式の問診表で評価します。
排尿日誌:尿の回数、1日の尿量、夜間の尿量、膀胱の大きさなどを知ることができます。尿の回数が増加し1回排尿量が低下していることが多いです。
尿検査:尿中の血液や細菌の有無を調べます。多くの場合、異常を認めません。
尿流・残尿測定:検査用トイレで実際に排尿していただき尿の勢いを調べる検査(尿流測定)を行います。排尿後には超音波検査で尿の出し残し(残尿)を測定します。
膀胱鏡検査:外尿道口から、内視鏡を入れ、膀胱の内部を観察します。腫瘍や結石の有無を調べ、ハンナ病変を検出する重要な検査です。
膀胱水圧拡張検査:麻酔後、外尿道口から内視鏡を入れ観察下に水圧で膀胱を拡げる検査です。治療も兼ねています。
病理検査:診断の補助として、膀胱がんの有無を調べるために行われてきましたが、最近の研究ではHICには特徴的な所見を認めることが報告されています。
特徴的なびらん(粘膜が欠損し、下部組織が露出した状態)性の病変です。膀胱が拡がると正常部と見分けがつきにくくなるため、注水初期から観察する必要があります。
ハンナ病変
矢印に囲まれた部位がハンナ病変
根治的な治療法はありません。患者さんの個々の状態にあった治療を組み合わせて行います。
ストレスの緩和:精神的なストレスが症状を悪化させる要因であることはよく知られています。運動や入浴、就労時間の短縮などが一般的です。患者会(日本間質性膀胱炎患者情報交換センター )などで交流をもつことも一助となります。
理学療法:骨盤内外筋膜マッサージ、バイオフィードバック療法や電気刺激療法などが施行されていますが、統一された方法はありません。腹圧性尿失禁に対して行われている骨盤底筋訓練は勧められません。
食事療法:コーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、トマト、柑橘類、香辛料、ビタミンCが症状を増悪させる飲食物とされています。個人差があるため個々の状態に合わせた制限を行う必要があります。
抗うつ薬の一種であるアミトリプチリンは有効性の根拠があります。
麻酔後、外尿道口から内視鏡を入れ観察下に水圧で膀胱を拡げる手術です。これまで診断および治療目的に行われてきた治療で、約半分の方に効果があり、効果が続くのは半年程度とされています。
ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)に行う治療です。麻酔後、外尿道口から手術用の内視鏡を入れ電気メスやレーザーでハンナ病変を切除・焼灼します。症状緩和には有効ですが、繰り返し行う必要が多いとされます。
ジメチルスルホキシド(DMSO)は炎症抑制、筋弛緩、鎮痛などの作用があるとされます。重大な副作用はなく、有効性の根拠があります。本薬はハンナ型間質性膀胱炎(HIC)に対し保険適応があります。上記治療の効果が乏しい場合に検討します。
HICのうち重症度基準で”重症”の基準を満たす場合、医療費助成対象疾病(指定難病)の認定が可能です。当院では、特定医療費支給の認定申請に必要な診断書の作成が可能です。認定をご希望される場合は、受付までお声掛けください。